「小豆洗い(あずきあらい)」。「ショキ。ショキ。」と川で音をたてて小豆を洗う妖怪。日本全国で伝承があるメジャーな妖怪だが呼び名はそれぞれ地域により異なる。「小豆研ぎ」「小豆婆」など。
ただ小豆を洗っているだけと伝わるところ、人を喰うと歌うと伝わっているところと、行動も地域差がだいぶある。
小豆洗いの噺
越後国のある寺に、小豆の数をぴたりと当てることができる小僧がいた。一升桝に入った小豆が何粒なのかを当ててしまうのだ。住職は、ゆくゆくはこの小僧に寺を継がせようと考えていた。
しかし、同じ寺の小僧がこれを妬み、ある日この小僧を事故に見せかけて井戸に落とし殺してしまう。その後、小僧が落とされた井戸から、夜な夜な小僧に似たものが出てきたり、寺の雨戸に小豆を投げつける音がしたりするようになった。またある時は、近くの川で小豆を洗いながら数を数えている姿を目撃されたりしたという。『絵本百物語』竹原春泉より